『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』 ジョシュア・フォア

ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由

ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由

  • たいていの記憶テクニックは、「凡庸な事柄を、鮮やかで面白く、今までにみたことがない、それゆえに忘れにくいものに変化させて記憶に埋め込む」という考え方に基づく。*1
  • 記憶に残りにくい情報を、心が惹きつけられる視覚映像に変換して、頭の中の空間に配置することだけで、覚えられなかったことが忘れられないことに変わる。
  • 空間記憶を使って憶えれば、たいていのことは、並んでいる順番のまま脳に刻みこむことができる。*2
  • 記憶の本質を知り、それを育てるというのは、異なる概念どうしを結びつけるためのイメージを瞬時に創造する能力を開発すること。創造は、異なるイメージどうしを結びつけてなにか新しいものを作り、未来に向けて発信すること。ある意味、創造は未来の記憶である。
  • 脳は最新式の書類棚のように組織化されていて、重要な事実、引用文、考え方が憶えやすいように整頓された引き出しに詰め込まれている。そこでは行方不明になるものは一切なく、またその場で組み換えや連結もなされる。
  • 記憶が人格を作る。記憶は人間の価値観の基盤であり、人格の源である。


記憶の宮殿

  • 生来の記憶とは思考と同時に生まれ、脳に埋め込められる記憶であり、後天的な記憶とはトレーニングと教育体系によって強化される記憶。
  • 後天的な記憶はイメージと場所という2つの基本要素で構成される。イメージは覚えたいと思うことの中身、場所はそのイメージを格納する場所。つまり、後天的な記憶では、頭の中によく知っていて想像しやすい空間を思い描き、その場所に記憶したいもののイメージを置いていく。*3
  • リストに書いてあることを順番に記憶するときには「記憶の宮殿」が大いなる力を発揮する。
  • 「記憶の宮殿」には自分の育った家を選ぶのが良い。それから「記憶の宮殿」に置くイメージは、面白くて、下劣で、奇想天外なほど良い。脳はセックスとジョークをとりわけ面白く感じ、記憶に残るようにプログラミングされた。
  • 「記憶の宮殿」が1,500個のイメージがおける大きな空間になれば、それだけ記憶することができるようになる。そして「記憶の宮殿」はいくつも持っていたほうが良い。
  • 文章やスピーチを記憶するときにはその内容か音を憶えることになる。*4そして残念なことに、脳は言葉を完璧に記憶するのが得意ではない。


PAOシステム

  • PAOシステムでは、00〜99の2桁の数字がそれぞれ、あるオブジェクト(O)とあるアクション(A)をするあるパーソン(P)という1つのイメージで示される。
  • どの数字をどのイメージに結びつけるかは自由に決めることができる。
  • つまり、記憶するために多くのことを記憶するのだ。

*1:「入念な符号化」

*2:情報から思い浮かぶひっかかりが多いほど、すでに知っている情報のネットワークに埋め込みやすくなり、記憶に残りやすくなる。

*3:ローマ人たちはこの方法を「場所法」と呼び、この記憶を格納する場所はのちに「記憶の宮殿」と呼ばれるようになった。

*4:「言葉を記憶」するのには膨大なイメージをつくらなければならないので巨大な「宮殿の記憶」が必要になる上、安定性にも欠ける。