『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』 田村耕太郎

君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?

君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?

  • 人生は準備で大きく左右されるが、これからの時代への準備はいまだかつてないほど人々の運命を変えていくだろう。準備の鉄則は、最悪を想定することであり、最悪を考えることはネガティブではない。むしろ、最悪を想定することこそがポジティブ思考の原点である。
  • 「中国とインドの時代」が新たに来るのではなく、歴史はずっと「中国とインド」であった。特にインドは今世紀最大の人口ボーナスを受ける国であり、21世紀はインドの時代。
  • 世界はあきれるほどの学校名主義*1であり、さらに成績が良くて初めて学歴になる上、本当の学歴は修士以上である。そして自己のリーダーシップを証明しなければならない。
  • これからは「死ぬまで働く時代」であり、自分に投資し自分で自分を養っていく時代である。ゆえに、「年だから」と限界を設定するような考えが最も危険。一生を通じて、新しいことを学び、常にイノベーションを起こせる人的資本であり続けねばならない。健康に投資しろ。
  • 考え抜く力が必要になる。人生で考えるべきは自身の差別化、つまり自分にしかできないことを考え抜くのだ。人の10倍考えること。思考の材料である知識をつけること。知識の中でもカギとなる数字は正確に記憶すること。考えるフレームワーク*2を体得すること。
  • 右脳的感性を伸ばせ。美術館に通ったり、ブランドショップを定期的に覗いたり、優れた建築物を眺めることでセンスを磨こう。
  • 「自立・責任・決断」のもと、自分の強みに立脚した戦略を立てろ。自分が何を知っていて、自分は何が好きで、自分の性格と志向を把握し、身に付けている武器が何があるか考え抜こう。
  • 心に「悪魔の代理人(デビルズ・アドヴォケイト)」=自分の心の中で、自分の意思決定について常に反対意見・問題提起をする別人格を用意しよう。常に納得できるまで反論を加えることで、その決断には説得力と一貫性があると自覚できる。
  • 1日の行動の価値がタイムコストに見合っているか常に考えよう。同様に他人の時間に対してもタイムコストを意識すべきである。時は金(コスト)なりの意識を強く持てば時間の使い方も上手くなり、迷っている時間のコストにも敏感になって決断が早くなるだろう。
  • 多様性の中に身を置き、情報はいくつかのソース*3から得よう。健全な批判精神を持っていないと、つくりこまれたわかりやすやに信じこまされ、日常生活レベルで嘘や詐欺に引っかかってしまう。常に脳はフル回転で。
  • どんどんブレよう。土台さえブレなければ、それを実行するための方法は環境や時代に合わせてブレた方がいい。ただしやみくもにブレるのではなく、「悪魔の代理人」としっかり話をしながら、実行オプションを再検討していくのがいい。
  • どんどん失敗しよう。日本人に足りないのは失敗の経験であり、「失敗に対する恐怖こそが挑戦の敵」「挑戦のない世界に前進はない」がシリコンバレーの哲学である。これからの時代にどこかに追いつくべき正解があるわけではない、熟慮より直感*4で勝負しよう。迷ったら、やれ。
  • 他人を巻き込む力をつけ、さらに他人に巻き込まれる力もつけよう。家族と友人を大切にしよう。フラットな人間関係と宗教への理解も忘れずに。
  • 教養とは膨大な情報の中からどれが本物か、今必要とされているのは何かを選り分ける力である。歴史や思想や経済や科学に横串を刺し、地域の視点を変えて多角的に見ていくことで、時代や地域を超えた真理に近づける。

*1:具体的には、アイビーリーグ・MIT・スタンフォードカルテックバークレー。米国以外ならオックスフォード・ケンブリッジ

*2:演繹法帰納法、仮説検証法。

*3:新聞…フィナンシャル・タイムズウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ。雑誌…エコノミスト、ビジネスウィーク、ニューズウィーク。映像…CNN、BBCアルジャジーラ

*4:直感とは、何も考えずに判断することではなく、自らに蓄積したあらゆる経験から判断材料を引き出し、それを瞬時に使って結論を出すことであり、直感の制度を上げるにはまず蓄積を増やすことだ。