『武器としての決断思考』 瀧本哲史
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: 新書
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- 変化が激しい今の時代、これまでの価値観や方法、人生のレールというものは、意味をなさなくなってきている。
- 自分にとって必要な学問は何かと考え、探し、選び取る、といった行為がベーシックなものとならなければならない。
- こんな時代に生きる私たちは、過去のやり方が通用せず、未来予想も上手くできなかで、自分の人生や華族の将来を見据えながら、ひとつひとつ現時点で最善と思える「意思決定」を行っていかなければならない。
- ディベートは客観的に決断するための思考法。
0.なぜ「学ぶ」必要があるのか?
- 知識ではなく考え方を学ぶ。「知識・判断・行動」の3つを繋げて考える。
- プロフェッショナル人材*1を目指す。要するに、相手の立場に立って、相手の代わりに考えることができる人材。
- 自分の人生は自分で決めていく。そして、正解はない。
1.議論は何のためにあるのか?
- 議論によって意識的に違う視点、複数の視点を持ち込み、ぶつけ合うことで、「いまの最善解」を出すことができるようになる。
- (1)慣れていることを重視してしまう。(過去を重視/将来を軽視)(2)限られた情報や枠組みで考えてしまう。(究極の楽観/究極の悲観・アンカリングの問題)(3)サンクコストの問題。この3つが陥りがちな「3つのゆがんだ判断」
- 議論でないものの典型は以下の3つ。(1)自分が根拠。(2)みんなが根拠。(3)反論させないもの。
- 自分に都合の悪い意見や、自分の価値観からは出てこない意見もすべて視野に入れたうえで、頭の中で賛否両論をぶつけ合って、最善解を決める(決断する)ことができる。
- 世間では、ブレない生き方がやたら賞賛されているが、「ブレないこと」自体に価値はなく、ブレない生き方は、ヘタをすれば思考停止の生き方になる。
2.漠然とした問題を「具体的に」考える
- 論題は(1)二者択一になるくらい具体的なもの(2)議論に価するもの(3)明確に結論が出るものを選ぶ。
- 問題が大きすぎて漠然としているときは小分けにして考える。
3.どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する。
- その行動を取ったときに生じるメリットとデメリットを比べて、メリットのほうが大きければやったほうがいいし、デメリットのほうが大きければやらないほうがいいというだけのこと。
- メリットの3条件は(1)内因性(何らかの問題があること)(2)重要性(その問題が深刻であること)(3)解決性問題がその行動によって解決すること)。
- デメリットの3条件は(1)発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)(2)深刻性(その問題が深刻であること)(3)(現状ではそのような問題が生じていないこと)。
- 自分で自分の主張が正しいかどうかをチェックできるだけでなく、相手をうまく説得することもでき、騙されにくくなる。
- 隠れたデメリット「機会費用」の存在を忘れずに、主張が3つの条件を満たしているかチェックする。
4.反論は、「深く考える」ために必要なもの*2
- 読書は格闘技である。
- 反論は、メリットとデメリットがほんとうに正しいかどうかを検証するために必要になってくる手段。
- 質と量の両面から考える。
- 全く反論が思いつかないときは、それは反論しようがない正しいこと。
- 意見・主張には必ず根拠が必要だということ。その根拠は反論に耐えた元でなければならない。
5.議論における「正しさ」とは何か
- 「正しい主張」の3条件は(1)主張に根拠がある(2)根拠が反論にさらされている(3)根拠が反論に耐えた。
- 「裏をとる」のではなく「逆をとる」
- 賛否両論でも決めることが大切。
- 「推論*3」の部分に対して反論を加えていけば、たいていの場合は「詰み」となる。
6.武器としての「情報収集術」
- 原典にあたることを習慣にすると、他人よりも一段上の意見を言えるようになる。
- 誰でも知っているような情報ではなく、「実は・・・」という情報にこそ価値がある。
- (1)すべての人は「ポジショントーク*4」(2)結論ではなく理由(根拠)を聞く(3)一般論ではなく例外を聞く。
- 相手を油断させたほうが本音を聞き出しやすい。
- 大学以降の人生では、情報に接したら、それが本当かどうかまず疑え。
7.「決断する」ということ
- 判定は「質×量×確率」で考える。
- 最後の最後は主観で決める。
- なんらかの絶対解や真実を求めようとすることは、「誰かの決めた正解」や、すでに役割を終えた「古い意思決定」に頼ってしまうという、もっとも危険な考え方、生き方になってしまう。
「自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく」ということ。
大学生になってから読むのでは遅い本だ、というのが率直な感想。しかし、読まないまま社会人になろうとするよりまだマシ。この本に書いてあることをそのまま実行するのでは「思考停止」状態と何も変わらないと思うので注意が必要だけどね。