『大震災の後で人生について語るということ』 橘玲

大震災の後で人生について語るということ

大震災の後で人生について語るということ

日本人の人生設計を変えた4つの神話

日本を襲った、今回の大震災とそれに続く福島第一原子力発電所の事故という二羽の「ブラックスワン

  • 地震予知はやっても無駄。
  • 日本人が自殺を選ぶのは、失業によって人生設計の経済的な基板が根こそぎ奪われてしまったから。

不動産神話 持ち家は賃貸より得だ

  • マイホームとは不動産投資であり、金融資産そのものである。
  • よほどの大金持ちでもないかぎり、マイホームを購入すると個人の資産ポートフォリオは一極集中型になってしまう。
  • マイホームが「得する」のではなく、その秘密はレバレッジにこそあり、マイホームの購入は不動産の信用取引
  • 「所有する」ということはリスクである。
  • 賃料の高いの大型物件を借りろ。
  • マイホームを持つという夢の残骸。

会社神話 大きな会社に就職して定年まで勤める

  • この世界で生きるために富を獲得する方法は、(1)人的資本を労働市場に投資して、労賃を得る(2)金融資本を金融市場に投資して、利子・配当や譲渡益を得るという2つしかない。
  • サラリーマンになるということは、会社から毎月給料という配当を受取り、退職金として元金が償還される債券を買うようなものであり、日本人の大半は、人的資本がポートフォリオの大部分を占めている。
  • 日本には、人的資本は会社に完全に依存、金融資本はレバレッジをかけれ不動産投資されている(マイホーム購入)というハイリスクな人生のポートフォリオを持つ人たちがものすごくさくさんいる。

円神話 日本人なら円資産を保有するのが安心だ

  • ギャンブルはゼロサムゲーム、投資はプラスサムのゲーム。
  • 保険は不幸の宝くじであり、銀行預金は投資ではない。
  • 真剣に考えなければならないのは、円資産が価値を失うリスク。

国家神話 定年後は年金で暮らせばいい

  • 確実な未来は以下の3つ、(1)人口総数の減少(2)高齢化の進展(3)少子化の進展。
  • この世には錬金術は存在しない、そして国家の錬金術(年金)も破綻する。
  • 国家破産というのは、(1)高金利(2)円安(3)インフレの3つの経済現象が同時に、かつ異常なレベルで発生することである。しかし、国家破産を恐れる必要はない。それは、国家破産すれば何が起こるかということはすでにわかっているからである。


まとめ
 「不動産神話」「会社神話」「円神話」「国家神話」を前提としたポートフォリオは、戦後の経済成長に最適化した人生設計だった。しかし、一旦リスクが顕在化すれば、それは個人の人生にとてつもない災厄をもたらすことになる。そして、リスクを避け安定した生活を求めてとっている行動が、皮肉なことにリスクを極大化することになっている。

ポスト3・11の人生設計

伽藍からバザールへ 人的資本のリスクを分散する

  • バックオフィスという選択。バックオフィスについては、これを。
  • マイクロ法人という選択。マイクロ法人については、著者の『貧乏はお金持ち』参照。

世界市場投資のすすめ 金融資本を分散する

  • 金融資本が大きければ、人的資本でリスクが取れる。しかし、金融資本が小さければ、人的資本でリスクを取ることができない。また、人的資本が大きければ、金融資本でリスクが取れる。しかし、人的資本が小さければ、金融資本でリスクを取ることができない。
  • 個人のリスクを国家の経済的リスクから切り離す。
  • FXで外貨預金。
  • 世界の株式市場をまるごと保有する。
  • あとは『貧乏はお金持ち』参照

感想
 橘玲が好きな自分としては、満足できない一冊だった。その証拠に、読書メモ自体のクオリティも低い。これは、細かい内容ですら自分が知っていることが多かったので、わざわざメモにまとめる意味もねーやぷんすかと言ったところ。