『売春の社会学』 ジャン=ガブリエル・マンシニ

売春の社会史―古代オリエントから現代までと間違えて買った一冊。Amazonで買うときには似てるタイトルに空目しないように気をつけましょう。

売春の社会学 (1964年) (文庫クセジュ)

売春の社会学 (1964年) (文庫クセジュ)

  • 洋の東西を問わず、売春が悪と考えられてきたことは確かであるが、それも必要悪と考えられてきたのであって、この点が反省に値する。
  • 売春婦の生活は、従来「ひも」や売春宿の経営者の生活に解き放たれることのないほど密着していた。つまり、どんな売春婦も男を養っていた。
  • 男性の欲求、多かれ少なかれやむを得ざる抑止しがたい欲求、これを満足させるために数えきれぬほど多くの女性が、あらゆる種類の売春仲介業者の残酷で貪欲な手にゆだねられている。仲介業者といっても、「ひも」、売春宿の経営者から酒場の経営者、人身売買業者などが、多くの国々で今なお強い力をもつ社会的諸条件のゆえに存在している。
  • 売春とは、婦女が、金銭を対価として、自由意志で、拘束されること無く、常習的・反復的・かつ不断に性的交渉を行うことである。そして、この行為以外に生活の手段をいっさいもたず、性的交渉の対象は求められればいかなる相手だろうと選択しあるいは拒絶することはなく、喜びでなく、ただ金銭の獲得を本来の目的とする行為である。
  • 売春とは都市という環境に発生し、成長するものであって、さらに限定していえば港市に特有なものである。
  • キリスト教が普及し始めてのちは、性関係に関連する問題は一般に、世俗生活の領域から宗教の領分へと移しかえられてしまい、教会は、その戒律にしたがって結婚による以外のいっさいの性的交渉を禁止し、したがって売春も法律の適用範囲外の事項となり、売春婦は常に宗法によって断罪されることになった。