『政治的思考』 杉田敦

政治的思考 (岩波新書)

政治的思考 (岩波新書)

  • 決めるということは捨てることを意味する。
  • 「決めるのは誰かを決める」ということが、政治においてきわめて重要な意味を持っている。
  • 誰が決めるべきかを決める根拠がないという、この面倒な問題を封印する手段として使われたのが「主権」という概念。主権というものを考えることによって、本来整理がつかない線引きの問題を解決、というよりも回避してきた。
  • 主権があることによって、決定過程は整理されるが、それは同時に、多くのものが顧みられることなく捨て去られる可能性を意味する。
  • 現状維持が最適と判断している側は、ふつうは、その問題を政治的争点にしないようにしたほうが有利。逆に現状を変えたい側は、争点にしなければならない。
  • 政治的な決定は、どういう時間軸をふまえておこなわれるべきものなのかということ自体が大きな争点である。
  • 民主政治が必要な理由は、自分にかかわることを、自分の知らないところで他人に勝手に決められたくないし、そうされては困るという意識が人びとの間に強いことと、民主的な決定については、関係者が納得しやすい、ということがあげられる。


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